「ゆくゆくはうちの子にも後見人をつけるようになるのかな?」こんな疑問から、いろいろ調べてみようという気になって、大体の概要は把握しましたが、・・・
「じゃあ、実際に、どうしたらいいの?」今度は、その具体的な手続き方法を調べてみました。
まだ先の話と思っていたら、いやいや、そうでもないんです。うちの子はもう14歳。2020年には18歳が成人年齢になるんですよね。成人するまでに後4年。これまでにやっておかなくちゃならないこと、たくさんあるような気がする・・・それに、結局、家族のライフプランを考えてからじゃないと、後見人なんてつけられないんじゃない?・・・ってことにまでなってきて・・・。
いつかは考えなくてはならないことだったのが、今から考えておくべきことになりました。
目次
どこへ手続きすればいいの?
「え?家庭裁判所に申し立てしなきゃならないの?」
おっと!いきなりハードルが高いです。「裁判所」という言葉に過剰反応しちゃいけない、と思いつつ、制度とか手続きとか、ただでさえ苦手なのに・・・裁判所かぁ、う~ん、子どものためとはいえ、鍛えられますね。
今、家庭裁判所のホームページを見ているんですけれど、「申し立て」っていう言葉からして、もう馴染めないですね。要は「成年後見制度」を利用したい!と意思表明することなんですが、手続きの流れの中には「審判」みたいな言葉も出てきて、ついドキドキしてしまいます。
ともかく、申し立てしないことには、制度を利用できないので、本人の住所地(住民登録をしている場所)の家庭裁判所にまずは申し立てをする、ということから始まります。
東京都だと・・・
- 東京家庭裁判所 (後見センター)
- 東京家庭裁判所 立川支部 (後見係)
2カ所の裁判所に窓口が設置されています。
では、誰が申し立てできるんでしょう?
申し立ては誰ができるの?
成年後見の申し立てができる人は、
- 本人
- 配偶者
- 4親等内の親族
- 市区町村長
とあります。予想できるのは、障害者の場合だったら、親、兄弟、祖父母、叔父さん叔母さん、いとこや甥や姪までいけるのかな。結構範囲は広いですね。市区町村長というのは、身寄りのない方の場合ですね。
本人も申し立てができるということですが、これは、主には、任意後見を利用する場合でしょう。任意後見は、ゆくゆく自分が高齢になって判断能力が衰えたときのことを考えて、準備しておく・・・などの場合です。(障害児の親が親権を使って任意後見制度を使うケースもあります。これについては別の記事でシェアしますね。)
成年後見には3つの類型がありますが、保佐・補助と判断されるような障害の度合いをお持ちの方が、自ら申し立てをする場合もあるかもしれません。(後見・保佐・補助、3つの類型については、別の記事で紹介しています。
http://ichinyoru.net/2019/01/03/eeinenkouken-seido/)
じゃ、申し立ての書類はどんなものがあるんでしょうか?
必要な書類は?自分で作成するのは大変?
必要な書類は、
・申立書
・診断書
・本人の戸籍謄本
・登記されていないことの証明書
ふーん、これだけ揃えたらいいのか・・・って、いやいやホッとできない。中には財産目録とか、収入状況とか、後見人候補者の書類など、色々あって、一筋縄ではいかない内容です。
内容が内容だけにこれは遺言を書くぐらいの勢いが必要ですね。(苦)
というか、そもそも制度を使うぞ!となったら、これぐらいのことは決まってないと話にならないってことですね。しかし「成年後見制度」を利用すると決まっていたとしても弁護士とか、行政書士とかとか、やっぱり普段からこういう書類を扱っている専門家に相談したい内容です。
医師の診断書もあります。普段からよく診察してもらっているかかりつけのお医者さんがいるならよいですが、うちなんかは、なかなか病院にもいかないし、このために一回だけ診察して診断書を書いてもらうというのもなぁ・・・
実際にダウンロードしてもらうとわかると思いますが、書類を揃えるだけでも煩雑です。公的な証書を作るわけですから、当たり前といえば当たり前なのですが、覚悟が必要ですね。
実際の書類は、家庭裁判所のHPに「後見・保佐・補助開始申立セット」があって、ダウンロードできますから、内容はすぐに確認できるんですけどね。
利用を考えている方用に、比較的わかりやすい「成年後見制度」のパンフレットがありました。
後見・保佐・補助開始申立セットの取得方法
http://www.courts.go.jp/toyama/saiban/tetuzuki/koukenhosahojyokaishi/Vcms4_00000327.html
家庭裁判所HP
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/
じゃ、では、実際に申し立てをしてからどれくらいかかるんでしょうか?
どれくらい時間がかかるの?
申し立て書類を作るのも時間がかかりそうですが、申し立てをしてからも時間がかかりそう・・・
パンフレットには以下のような手続きの流れが書かれています。
①申し立て→②審判手続き→③審判→④告知・通知→⑤審判の確定→⑥嘱託→⑦登記
だいたい①申し立てから③審判まで、およそ1~2ヶ月かかると書かれています。書類審査の後には面接があったり、必要に応じて医師による鑑定が追加になったり、事案に応じて、かかる時間が変わるとありますから、一概には言えませんね。
この待っている間に緊急を要するような事態が起こりうるでしょうか?障害者を残して家族が一度にいなくなったりした場合?・・・いやいや、これは考えたくないですが・・・
う〜ん、不慮の事故を想定するんだったら、任意後見制度を使うということでしょうか?
では、次に、かかるお金も押さえておきましょう。
費用はどれぐらいかかるの?
申し立ての時に必要な費用は、
- 申立手数料(1件につき800円分)
- 登記手数料 2600円
- 書類の送達にかかる費用 3000円~4000円程度
- 医師の診断書にかかる費用
ケースによっては、審判の判断材料にするために、裁判所が他の医師に鑑定を依頼する場合もあります。そうなったら、それにかかる鑑定料も別途必要になってきます。かかる費用が10~20万、う~ん結構な額ですよね。
ここにあげた諸費用は、あくまでも「成年後見制度」を利用するための、申し立ての手続きに関わる費用です。自分で申請書を書いて手続きをした場合で、司法書士などの専門家にお願いしたら、別途、その費用がかかります。
費用の話ついでに・・・
本来だったら、後見人制度は、登記されてからのことですよね。親なきあとの障害者本人の生活の質を管理してもらう、運用管理のところが本題なんです。
別の記事でも書きましたが、一度、後見人を立てたら、後見人に対して報酬が発生することも念頭に入れなくてはなりません。その報酬は、「被後見人」である障害者が亡くなるまで、払い続けることになります。
障害者の毎月の収入は決して多くないと思うんですが、この報酬をずっと支払うのか・・・と思うと、自分が死んでからのことですけど・・・ちょっと気が重くなりますよね。(苦笑)
果たして現実的にうまく運用されているのでしょうか?
と思っていたら・・・後見人に支払う報酬に補助金が出るという行政サービスもありました。とは言え、生活保護を受けるぐらいの切迫した状況や身寄りのない障害者の方に補助金が援助されるということでした。あくまでも、そのサービスを受けなければ生活できないと判断された場合ですね。
始めたら、やめられない
申し立てをしたら、もう取り下げられません!
ひゃーこわい。これは、私にとっては、結構、衝撃です。ボディブローのようにじわじわ効いてくるな・・・という感じです。苦っ
一旦申し立てをしたら、公益性や本人保護の見地から 取り下げられないんですよ。申し立て中に「やっぱりやめた!」もできません。
こんなにコワイなんて、私の潜在意識になにかあるんでしょうか(汗)。平気な方は平気だと思いますが、やめられないなんて、怖くないですか?
そして、同じ理由から、制度の利用が始まったら、障害者本人が亡くなるまで、一生続くんです。
一旦登記された公正証書を覆すには、よほどの理由が必要です。その理由は、後見人が悪意ある不正を行ったとか、明らかにダメな時です。
選任された後見人とうちの子の相性が悪いから、とか、後見人の仕事ぶりが気に入らないとか、そういう理由は、理由にはならないんです。
法律に則って権利を守るための制度ですから、確固たる内容でなければならないのはわかるのですが、制度がかえって仇になる場合もあるんじゃないかな~と危惧します。実情に合わなくなった時、容易に変更、修正できないというデメリットにもなりえます。
あ〜こわかった・・・
じゃあ、後見人は誰がなるんでしょう?選べるんでしょうか?
後見人は選べるの?
別の記事でも書きましたが、これが、親は後見人を選べないんです。
親の立場からすると、後見人は、自分の代わり、親代わりですから、絶対信頼できる人にお願いしたい!その思いは切実ですよね。
でも、一方で裁判所は、障害者本人の生活や権利を守るために、たとえ、家族であっても別々の人間と捉えます。
公平な立場で判断をして、選ぶのは裁判所ということになります。申し立て時の書類に、候補者を記入することはできますが、それはあくまでも候補者、後見人を選出するのは裁判所なんです。
特に、障害者本人にある程度の財産がある場合は、親族間の金銭トラブルを避けるために、裁判所は、専門家を指名する傾向にあります。専門家というのは、弁護士とか、司法書士とか、行政書士とか、職業で後見人業務を行っている人のことです。
その場合、当然、後見人に対して報酬が発生しますし、その活動は、概ね財産管理のみになると予想されます。障害者本人とのコミュニケーションや心情的なコミュニケーションを行ってもらえるかというと、そこは親の代わりにはならないのです。
調べてみて思ったこと
「成年後見制度」
今回、調べてみて一番に思ったことは、裁判所の対応がずいぶん変化しているなぁということです。
そのときの時勢に応じて変化する必要があるのかもしれませんが、この成年後見制度が施行されたのは2000年からなんです。18年間の間で、制度に関する裁判所の対応は、結構、様変わりしています。
たとえば、施行当初は、後見人は親族がなる場合が多かったのですが、近年では親族以外の後見人を選任する方が多くなって来ています。
これは家族であるがゆえに財産管理に曖昧さが出て、親の預金を使ってしまうというケースが増えたためですが、障害者とその親にとっては、子供が成人になった時に親が後見人になれないわけですから、制度としては同じですが、格段に使い勝手が変わってしまったという事態が起こっています。
こんな具合ですから、これから何十年かして、本当に息子に成年後見人をつけたいとなったとき、もしかしたら制度の内容自体が変わっていたり、裁判所の審判の根拠も変わっているように思うんです。
障害者総合支援法も、これから色々あると思います。
本当に必要になったときに「知らなかった」じゃ済まされないですから、常にアンテナをはっておく必要がありますね。後見人を立てる必要があるかどうか、根本的な判断ができるような材料を常に持っておく必要があるんだと思います。制度に縛られないためにも・・・。
・・・む・武者震い・・・
でも、安心材料となる成果もありました。相談できる機関は増えていて、比較的身近にあるんです。地域にある最寄りの社会福祉協議会や、相談室を設けているNPOや個人の行政書士さんもいます。
これらの方には、成年後見制度以外でも、気軽に相談できそうです。
・「親なきあと」相談室
・オフィス ニコ
https://www.facebook.com/profile.php?id=100004208763439
・後見の杜「後見お悩み相談室」
・成年後見制度利用に関するご相談先一覧
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kiban/sodan/kouken/torikumi.html
早めに然るべきところに相談に行きたいと思います。親としての心配事を一回吐き出して整理できたら、また、違った視点が得られるんじゃないかなと思います。
調べるほどに、ちょっとへこたれてしまいましたが、がんばろー!