「知的障害がわかってから、やれることは全部やろうと思って、療育手帳を申請したのも、そのひとつで・・・。
息子は人混みが苦手で、いつも車での移動だったんですが、療育手帳のおかげで、駐車料金が割引になって・・・ありがたかったですね。
療育手帳が後押ししてくれて、気軽に出かける気持ちになれましたから。
もし、療育手帳がなかったら、私も息子も家にずっと篭ってたかも・・・」
当時を振り返って、こんなふうに語ってくれたのは、障害児のママ歴14年のお母さんです。
彼女と息子さんのエピソードにかぎらず、「療育手帳」を持つと、障害者の生活を援護するさまざまなサービスを受けることができます。
まずは、気軽に!申請して、療育手帳を持ってみましょう。
ここでは、具体的な申請方法を、詳しく解説していきます。
目次
療育手帳の申請は何歳から?
申請する年齢に、いつから~いつまでに、という期限はないんです。
0歳からでも申請できます。
でも、あえていうなら、総合的に判断して知的障害がわかった時点、と言えるでしょう。
その子それぞれの発達過程があるので、一概には言えませんが、おおむね3歳ぐらいまでの時期に発達の遅れが現れてくる傾向があります。
そのときに、医師に相談して、お父さん、お母さんがお子さんの障害を受け入れられて・・・、その上で、申請するのが一番いいと思います。
療育施設にはソーシャルワーカーの方もいますし、障害のこと、療育手帳のこと、気軽に相談してみてもいいと思います。
また、あまり多くはないですが、大人になってから初めて申請する、という方もいらっしゃると聞きます。
障害者枠での就労を考えると、療育手帳があった方がいいということで、申請されるんでしょうね。
その場合は、「発達期に知的障害があらわれていること」という要件を満たしていなければなりません。
特別支援学級に通っていたなどの事実があったら、要件を満たしていると言えますから、申請することができます。
じゃや、申請しようとなったら、次は?
どこに申請すれば、いいでしょうか?
療育手帳の申請はどこにするの?
18歳未満の場合
18歳未満の場合は、地域の児童相談所が窓口になります。
まずは、児童相談所に電話すること!ですね。
実は、最初に電話した時点で、もう申請したと言ってもいいんです。
申請方法は、以下の2通りです。
- 直接、児童相談所で判定を受ける
- 主治医の所定の診断書を提出する
1.の「直接、児童相談所で判定を受ける」場合は、最初のこの電話の段階で、判定日の予約を取って、予約できたら、もうほぼ申請したと言えますね。
うちの場合をお話しますと、「2.の主治医の所定の診断書を提出する」にしました。
所定の診断書を主治医の先生に書いてもらい、ほかの必要書類を揃えて、返送することで申請が可能でした。(10年ぐらい前の話ですが・・・)
なぜ、こっちの方法にしたか、それは、息子が小さかったからです。
定期検診の折に、いつも会っている主治医に書いてもらった方が、子どもに負担がかからないなぁと思ったんです。
相談所での面談をしなくてすむ分、子どもに余計な負担がかかりません。
判定は、送った書類や診断書を元に、相談所の医師が行うということですから、まあ、間接的な判断にはなるかと思います。
そして、こっちの方法のデメリットとしては、子どもには負担はかからないけど、診断書を書いてもらう費用がかかるというところですね。
どっちがいいでしょうね?
児童相談所にこちらの状況を伝えて、担当の方にアドバイスをもらってもいいいと思います。担当者は、色々相談を受けてる立場の方ですし。
電話したときに、お子さんに合った方法を相談してみてくださいね。
さて、判定という言葉が出てきましたが・・・
「判定」とは、一体どんなことをするのでしょう?
ちょっと簡単に触れておきますね。
療育手帳では、障害の度合いを、4つに区分しています。
愛の手帳の場合は、重い方から・・・
1度(最重度)、2度(重度)、3度(中度)、4度(軽度)です。
障害の状況=度数ですね。
障害が重ければ、その状況に対応するサービスが必要ということで、度数の4区分によって、受けられるサービスの内容が違ってきます。
それで、障害のレベル(度数)が、手帳の定義するところの何度に該当するか、ガイドラインに沿って「判定」するということになるんですね。
一番最初の判定日は、医師の診断もあるので、児童相談所に医師がいる曜日になります。
特に年度末は、手当の申請・更新の時期なので、余計に混んでいる印象です。
2ヶ月後ぐらいじゃないと、予約が取れないこともあります。
療育手帳を使う予定があるなら、余裕を持って申請することをお勧めします。
年齢が上がってくると、同じ療育手帳ですが、大人の制度に移行することになり、管轄が変わってきます。大きな節目は18歳です。
18歳以上の場合
18歳以上の申請場所は、東京都心身障害者福祉センターで申請できます。
場所は、新宿と立川、2ヶ所です。
事前の予約が必要で、電話のみの受付です。
こちらもともかく電話することですね。
18歳になるときには、全員が成人更新をする必要がありますから、こちらも予約が殺到しているだろうなぁと予想できます。
●東京都心身障害者福祉センター(障害認定課)
電話:03-3235-2961
住所 新宿区神楽河岸1番1号 東京都飯田橋庁舎(セントラルプラザ)14階
●東京都心身障害者福祉センター多摩支所
電話 042-521-1100
住所 立川市曙町三丁目7番10号(都営曙町三丁目アパートの1階、2階)
では、続いて、判定日に持参するものをチェックしておきましょう。
療育手帳の申請に必要なものは?
当日必要なものは、予約の電話のときに、担当の職員の方が教えてくれます。
自治体によって異なりますので、児童相談所に電話したときに、詳細を確認してくださいね。
そうそう、そういえば、当日の持ち物に、顔写真がありますが、写真を撮るのに結構苦労した思い出があります。
一応、本人の証明なので、まっすぐ前を向いたものをと、証明写真になんとか近づけようと頑張りました!が・・・
ダメでしたね。うちの場合は、無理でした。笑
結局、ちょっと前に撮ったスナップ写真から見繕って・・・、かなり笑える写真を使うことになりました。
当時の、1歳のころの写真が、今でも手帳に貼ってあります。
見るたびに、私は密かにウケてたり・・・(余談でした。)
写真は、スナップ写真でOKです。ただし、所定の大きさに切らないでください、と言われます。
スナップ写真の場合は、そのまま提出しましょう。
以下に、東京都の場合の、判定日当日の持ち物をあげておきますが、面談のときの参考資料のためかもしれません。念のためのものが多いようにも思います。
- 印鑑
- 顔写真
たて4cm、よこ3cm。正面ではっきり写っているもの。
スナップ写真でもOKだが、その場合は、切らずに持参する。
- 他に取得している手帳など
愛の手帳・身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳など、
- 母子手帳
手元にある方は持参しましょう。
- 診療情報提供書・診断書・お薬手帳など
てんかんや精神疾患で入院・通院中の方は、可能な範囲で医療機関発行の
診療情報提供書など(病気の経過や治療内容のわかるもの)を持参する。
服薬状況のヒアリングのため、お薬手帳や薬の説明書を持参する。
薬そのものでも可。
- 健康保険証
また、療育手帳の申請・判定・交付に、手数料はかかりません。
さて、ここまで、大丈夫でしょうか?
申請するのは、いつでもできて、18歳未満の場合は、児童相談所に電話して、判定日の予約をとるでしたね。
では、判定日、当日の流れはどうでしょう? 何をするんでしょう?
試験日みたいで、ちょっとドキドキしますよね。
判定日のスケジュールは?
いざ、判定日当日になったら、あとは流れに乗るだけです。
必要なもの、持ちましたか? 忘れ物ないですか?
今日に限って、うわー・・・うちの子、ものすごく機嫌わるいー、
なんてことはよくある話です。笑
でも、大丈夫です。肩の力を抜いて気楽にね。なるようになりますから。
判定結果も気にしない!考えないようにしましょう!
逆に、子育ての大変さを、全部さらけ出して、スッキリするぐらいの気持ちでいいと思いますよ。
判定時間は、おおむね2時間半から3時間です。
幼児・児童・成人などの年齢や、障害状況などによって判定時間が変わってくることがあります。
-
受付
-
愛の手帳交付申請書記入
-
心理学的判定(面接・心理検査)
-
医学的判定(問診・診察・身体測定)
これで終わりです。
お子さんの出番は、3、4ですね。
3.心理的判定では、田中ビネー知能検査や他の検査法などで、IQを調べます。
4.医学的判定は、普通のお医者さんの検診ですね。
保護者と離れられるようであれば、一人で検査を受けることになります。
でも、ありのまま、いつものままで大丈夫です。
どの検査もお子さんに合わせて行われます。無理強いはされません。
そして、
判定が終わったら・・・
どうしたって、2時間は、長いですよね。
お母さんも、お子さんも、グッタリかと思います。
お母さんは特に、気が張っているでしょう。
終わったら、お母さんも、お子さんも、頑張ったね〜と、労いあいましょうね!
まずは、お母さん。
「お母さん、頑張りましたね!おつかれさまです!」
そして、お子さんも。
思いっきり褒めて!
「長い間、えらかったね!よく頑張りました!」
さてと、長時間の手続き、判定、診療、終わったら・・・
あとは、交付されるのを待つだけですね。
どれくらいで交付されるの?
判定が終了すると、療育手帳は、おおむね1ヶ月程度で交付されます。
郵送で自宅に届きます。
変な話ですが・・・なんだか、合格通知をもらったみたいに嬉しいですよ。
まとめ
東京都の療育手帳「愛の手帳」を例に、申請の時期や窓口、必要なことについて、まとめてきました。
もし、申請を迷っているなら、この際ですから、このまま、電話してみてはいかがでしょうか!
療育手帳を申請しようというときの、お父さん、お母さんの気持ちって、なかなか計り知れないところがあると思うんです。
たとえば、こんな思い・・・
●「判定」にはネガティブなイメージにつきまとう・・・試験みたいで、やだなぁ・・・子どもに知的障害者のレッテルが貼られるような気がする・・・とか、
●初めて会う相談員の判断で、判定が決まってしまうのは、どうなのかなぁ、本当の姿を理解してもらえないかも・・・とか、
●保護者の日常の大変さを考慮してもらえないんじゃないか、実際の障害の状態が、判定とかけ離れてしまうのでは・・・不当に扱われるんじゃないか・・・とか、ね。
心配なこと、不安なこと、みなさん、いろいろあると思うんです。
でも、大丈夫です。
へこたれないでください。
お父さんやお母さんが、判定に納得できないとしても、この判定で、お子さんの存在や人格まで、否定されてしまったわけでは、ありません。
療育手帳は、お子さんの生活の質をあげるための「便利ツール」です。
割り切って、有意義に活用しましょう!!!
私は虫のいい話と思われるかもしれませんが、日本国民の皆さんが、療育手帳を通じて、うちの子の人生を応援してくれているんだ!と勝手に思っています。
そう思うと、なんだか、日本全国のみなさんから、ちょっとずつ、力をもらえているような、そんな気がしてきて、元気になるから不思議です。
まずは電話してみましょう。
全国の児童相談所はこちらです。↓