高校を卒業したら、息子の生活はどう変わっていくのでしょうか?
今回は、障害者の就労支援について調べてみます。
多くの特別支援学校の卒業生は、大学進学ではなく就労という道を選ぶことになります。
・・・息子も例外ではないでしょう。
彼に合った就労先がうまく見つかって、うまく空きがあって、いきたいところにうまくマッチングできたら、こんなによいことはないのですが・・・
選択肢はきっとそんなに多くないように思います。
やってみないと分からない・・・想定外のことも出てくるでしょう。
今から不安に思う必要もないのですが、今のうちから調べられることは調べて、やれることはやって・・・
憂慮して心労をためないためにも、徐々に準備をしていこうと思います。
障害者の就労支援にはどんな種類があるの?
まず、厚生労働省のHPを見にいったんですけど・・・
うーん、どこを見たらいいのやら・・・
情報量が多すぎて、一回では理解しきれない気がしてきました。
色々な特殊?用語が出て来るんですよ。
それらの意味から理解しなくてはなりません。
なので、毎回同じスタンスで恐縮ですが、とりあえずうちの息子が就労する場合を想定して・・・
雇用される側からの、しかも知的障害者が就労するという視点でみていきます。
知的障害者はどんな就労支援が受けられて、どんな場で働くことができるか?・・・という視点です。
就労先は大きく分けて2つに分かれますね。
(・・・実際のところ、ここが分かれ道のようですが・・・)
- 一般企業(特例子会社含む)へ障害者として就労する「一般就労」
- 一般就労が困難な障害者へ向けた「福祉事業所」
まずは、この2方向です。
1.「一般就労」は、企業の一部署への採用の場合もありますが、このごろ多いのは、障害者雇用を目的とした特例子会社への就労で、雇用形態は様々です。
一方、2.「福祉事業所」は、従来の就労形態ですが、この中でも次の4つに分かれます。
- 就労継続支援A型
:企業に就労することは困難だが、継続的に就労することが可能な場合、労働の機会を提供し、就労に必要な知識取得、および能力の向上のために必要な訓練を行う。雇用契約。東京都の場合の最低賃金は時給985円 - 就労継続支援B型
:継続的に事業所に雇用されることが困難な場合、生産活動などの機会を提供をする。利用契約。工賃は作業量や内容によって様々。 - 生活介護
:常に介護を必要とする人に、昼間に入浴、排泄および食事の介護などを行い、創作活動や生産活動の機会を提供する。障害支援区分3(施設入場合は区分4)以上の方が対象。 利用契約。 - 就労移行支援:企業などへの就労を希望する場合、「就労に必要な知識や能力を身につけるための訓練」や「求職活動」などの支援をすること。標準期間2年。
就労移行支援は、「一般就労」と「福祉事業所」の間に位置付けられるものですね。
で・・・
今さら、気づいたんですが、就労支援=就労先なんですね???
障害者の就労支援ってそもそも何だろう?
普通に考えると、就労支援というと、転職サービスを行なっている会社とか、就職させるまでが仕事ですけど・・・
就労継続支援A型、B型って、支援が継続されるという意味ですよね?
ややこやしいなぁと思ったのは、このせいだったかもしれません。
私の中にある一般的な労働の「働いて生活するための対価を得る」「稼ぐ」というイメージも邪魔してたようですね。笑
・・・就労といっても、障害者の場合、「福祉サービス」の中での考え方なんですよね。
前提には、障害者の法律「障害者総合支援法」があって、目的は、就労が困難な障害者に対して、必要な支援・訓練、就労する機会などを提供することなんです。
前に見学にいった福祉事業所で、働いている人のことを「利用者」と言っていて、それにすごく違和感を感じたんですが・・・
今回それを思い出して、改めて合点がいきました。根本的に違うんですね・・・
「障害者の工賃が安すぎる」という話をよく聞きますけど、この考え方がベースにあったら、利益が出なくて工賃が安くなるというのも無理ないのかな・・・納得してしまいました。
就労支援制度自体は、厚労省HPをみる分では、色々と手厚い印象を持ちました。
働く場を提供する側にも、就労を考えている障害者にも、それぞれのメリットが配慮されていると思います。
障害者は、自分の適性を把握できて、就労する時も就労してからも、アセスメントを受けつつ、無理することなく働くことができます。
就労支援を行う事業所にも、該当する障害者を1人雇うと規定の給付金が賄われるなど制度的な補助があったり・・・事業体としての利益を求めつつも、障害者の就労という点に事業の力点を置くことができます。
中には、障害者雇用のイメージが湧かない事業者に向けて、「実際に雇用を行なっている企業へのバスツアー」なんていうのもありました。
少なからず、施策が功を奏しているのでしょう、障害者を雇い入れしようという企業も増えてきているように思います。
就労継続支援B型事務所に就労するには・・・
さて、息子のケースを考えてみますね。
一般就労を目指すのがベストと思うのですが、息子の現状を考えると、その間口は狭いのかな〜とも思います。
息子が一番お世話になる可能性があるのは、たぶん就労継続支援A型、B型でしょう。
特にB型事務所は数も多く、多くの知的障害者の就労先になっています。
2016年時点で1万214事業所あり、利用者は25万2597人です。
息子の特別支援学校でも、多くの卒業生が「就労継続支援B型」を就労先に選んでいます。
では具体的な利用の流れを見ていきましょう。
まず、就労継続支援B型事業が利用できる対象者は・・・
就労移行支援事業等を利用したが一般企業等の雇用に結びつかない者や、一定年齢に達している者などであって、就労の機会等を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上や維持が期待される障害者
- 企業等や就労継続支援事業(A型)での就労経験がある者であって、年齢や体力の面で雇用されることが困難となった者
- 50歳に達している者または障害基礎年金1級受給者
- 1及び2に該当しない者であって、就労移行支援事業者によるアセスメントにより、就労面に係る課題等の把握が行われている者
・・・とあります。
う〜ん、なんのことやら・・・ですね。
やたらと表現が難しいですが、高校卒業したての息子は、3番目、
1及び2に該当しない者であって、就労移行支援事業者によるアセスメントにより、就労面に係る課題等の把握が行われている者
・・・に該当するようです。
ということはですよ・・・学校卒業後、そのままB型事業所に入れないんですね。
就労移行支援事業者によるアセスメントという手続きが必要なんですね。
以下、利用するまでの流れを簡単にまとめてみました。
まず、希望者が市町村窓口へ相談
↓
相談支援事業所
・相談支援
・就労アセスメントのためのサービス等利用計画案の作成
↓
暫定支給決定
↓
就労移行支援事務所
・就労アセスメント
・評価結果のまとめ
↓
相談支援事業所
・相談支援
・B型事業所または就労移行支援事業所サービス利用計画書の作成
↓
支給決定
↓
利用開始(就労開始!)
↓
相談支援事業所によるモニタリング
このへんの利用までの手続きは、学校の進路指導でもっと詳しく教えてもらえると思います。
要は、サービスの提供を受けるためには、本人にどんな支援があっているか、計画が必要だということですね。
現在でも放課後デイサービスなどで相談支援を受けていますが、それと同じようなことかなぁと推測しています。
就労のために今から取り組むこと
中3ともなると、保護者会などで、進路の話を以前よりも多く聞くようになります。
進路指導を担当する先生による「就労に向けて今から準備すべきこと」というレクチャーがあったり・・・
授業もだんだんと就労を視野に入れた活動が多くなってくるんですよね。
事実、高校生活の3年は、ほぼ就労に向けたカリキュラムになっていきます。
就労先は大きく分けて、「一般就労」と「福祉事業所」の2つと書きましたが、この分かれ道でどっちに行くかは、
- 一人で事業所まで通勤できるか
- 身の回りのことが自分でできるか
- 挨拶はできるか
・・・このような基本的なことが重要になってきます。
都市部での話かもしれませんが、要は単純な話で、一人で電車に乗れると、より多くの事業所を就労先の候補にすることができます。
それだけ、選択肢が広がるんですよね。
そのためにも、今から卒業後の生活をイメージして、少しずつでも、とり組んで行くことが重要です。
毎日の生活の中で、親が子供にできることのひとつと言えるでしょう。
前から言われていたものの・・・、私は中3の今になって焦っています。
息子には申し訳ないですが、これは親の怠慢ですね。汗
進路指導の先生から6つ、今からしておくことのポイントをレクチャーいただいたので、記しておきます。
- 主治医をもつ
:定期通院して、年金申請のための主治医を持っておく。 - 安定した生活習慣の確立
:情緒、睡眠、挨拶、返事、清潔感などを身につける。 - 行動手段の獲得
:公共交通機関の利用 - 余暇活動
:余暇を自分の好きなことをして過ごせる力 - 療育手帳(愛の手帳)の更新
:高校になると忙しくなるので、今のうちに更新手続きを。
さすがです!さっぱり、しっかり、すっかり、まとまっています。
他にも、家庭内の家事を子供に分担させて、「仕事」というものを意識させるというのも重要だということでした。
まとめ
今回、就労支援の基本的なことをいろいろ調べてみて、支援するシステムは概ね揃っているということがわかりました。
実情がどうかはわかりませんが、雇用する企業や作業所の側にも、障害者である雇用される側にも、それぞれの立場を支援する仕組みがあるということです。
そして、4年後、この福祉サービスのシステムを有効活用するためにも、息子が、息子のままで生き生きと社会と付き合っていけるように、今から取り組んでいく必要があるでしょう。
今から取り組むべきことは、進路指導の先生が示してくれています。
もうこれは、四の五の言わずにやるしかないですね。
それと同時に、どこにどのような事業所、福祉作業所、例えば新たな民間企業の取り組みなどがないか、特例子会社に可能性についても、調べてみたいと思います。
「情報収集」と「子供の生活を整えること」「迅速な手続き」
それが親の就活ですね。
子供の将来のために親がしてやれることのひとつです。
※わかりにくいのがタマにキズですが、厚労省HP、参考になります。
「工賃向上計画」「就労定着支援事業」など、新たな施策もあるようで、それらがどうなっているか今後も注目していきたいと思っています。(覚書)